持続可能で暮らしやすい、
災害に強い社会をつくるために。
地盤沈下は「典型7公害」として定義されており、地盤沈下による災害は、道路や建物などの建造物の損壊や、洪水、高潮時の浸水被害の増大など、社会的に大きな被害をもたらします。
また、地盤沈下は不可逆的で、即座に止めることが困難な現象であるため、早期発見と広域的な監視を継続することが重要な課題です。
その解決策として今注目を集めているのが、衛星に搭載されているSAR (合成開口レーダ)を活用した、地盤沈下の観測です。
SARは、マイクロ波を照射し地上からの反射波を観測し、昼夜・天候に関係なく地表面の特性や表情を観測することができます。
この特性と衛星が持ち合わせる広域性と周期性を活かし、同じ地域を2回以上観測し比較することで、その期間に発生した衛星と地表面の距離の変化を捉え、地表面の動きを観測する技術、「干渉SAR解析」を活用することによって地盤沈下の早期発見、広域の状況把握を可能とします。
衛星リモートセンシング技術について技術指導をいただく専門家のご紹介
京都大学工学部航空工学科(卒業、1977)、同工学研究科(修了、1979)、東京大学(博士(工学)、1999)。
1979年4月から2015年3月まで宇宙航空研究開発機構。2015年4月以降、東京電機大学 理工学部 建築・都市環境学系 教授。
SAR(航空機、衛星)の映像化処理、校正、干渉SAR解析,ポラリメトリックSAR、全球森林解析などをおこなう。
IEEE Geoscience and remote sensing学会(Fellow、2011〜),日本リモートセンシグ学会,日本測地学会、会員。
衛星データの活用で地盤沈下観測の最適化を目指す。
SARで取得した衛星データを活用し「干渉SAR解析」を実施することにより、「点」ではなく「面」で広域的に、地盤沈下を観測することができるため、水準測量などによる現地測量を実施する際の回数の削減と、現地測量が実施されていない範囲においての、地殻変動の監視を可能とします。
そのことにより、人的費用、時間のコストカットを実現し、これまで観測できていなかった範囲の継続的監視による監視体制の向上を実現します。