リモートセンシング技術室では衛星データを活用し、発展途上国における廃棄物問題の解決に取り組んでいますが、ベトナムでの調査の事前調査として、鹿児島県大崎町にある「曽於南部厚生事務組合 清掃センター(埋立処分場)」に行ってきました。入り口付近から撮影した写真です。自然に囲まれた大きな敷地の一角に、これから埋立処分される一般ごみが集められていきます。
整備がしっかりされていて、施設の周辺に臭いなども全く漂っていませんでした。
大崎町は2006〜2020年の間に、自治体別一般ごみリサイクル率日本一を14回も達成しています!2020年度のリサイクル率は83.1%ですが全国平均が20%と聞けば、大崎町のリサイクル率がいかに高いかがお分かりになられるかと思います。
リサイクルするために非常に細かく分別作業を行った後、再資源化の難しい一般ごみのみが、処分場で埋め立て処理されています。
調査中も一般ごみが運ばれてきて、投棄する様子を見ることができました。なぜこの場所で現地調査を行ったのかといいますと、ごみを人工衛星から観測し研究するためには、地上のごみの波長データが必要だからです。
(衛星は対象物から跳ね返ってくる光の波長を観測し、対象物が何であるかを見分けます。その方法を携帯型分光放射計を使用して地上でも実施します。)
ベトナムなどの発展途上国におけるごみの処分方法は一般的に埋立処分であり、同じような条件で事前に調査できる場所が、曽於南部厚生事務組合 清掃センターだったのです。
日本では中々見られない貴重な光景がそこにはありました。
「切り取った写真では、ここがどこの国なのか分からないと思うよ。」という研究協力者の発言に納得するしかありませんでした。
埋立処分自体が悪いわけでは勿論ありません。発展途上国では埋立処分場の位置情報を把握しきれていなかったり、処分場での管理状況や、処分するまでのプロセスに問題がある場合が多く、その課題解決に衛星データを活用できないかと弊社では研究開発を進めています。
研究開発 → https://re-sensing.co.jp/project/
少しわかりずらいですが、カメラ用の一脚にごみの光の反射を測定する機材を取り付け、波長測定を実施している様子です。
この作業をひたすら繰り返すので、次の日は腕パンパンです。筋トレの必要性を感じながらの調査です。
しかし、ベトナムでの現地調査に必要なデータや調査方法を確認でき、次につながる有意義な事前調査になりました。
私が立っている場所は、ごみの上に土を被せて埋立処分が既に終わった場所です。
関係者の方が後ろから撮影してくださり、後日写真を送ってくださいました。
今回の調査は、国立環境研究所の研究者の方や、大崎町SDGs推進協議会の方、また現地で働かれている方々のご協力の下で無事、実施することができました。誠にありがとうございます。
波長測定調査は晴れていることが絶対条件なので、お天道様にも感謝です。
この経験を、今後のベトナムでの現地調査、衛星データを活用した廃棄物問題の研究開発に活かしていければと思います。
廃棄物問題について弊社の取り組みは、今後もブログに上げていきますのでよろしくお願いします。
リモートセンシング技術室 河田